この世ならぬ幽界政府で、画期的なジェンダー平等推進策が実施された。今月、幽界行政を担う「大霊廟府」は新たに“性質入替内閣”を発足し、閣僚全員の性格・性質を一時的にシャッフルする前代未聞の政策試行を始めた。背景には、死後においても根強く残る性別や役割分担の固定観念、多様性の尊重を求める声がある。
大霊廟府によれば、今回の措置は「ジェンダー観の硬直打破と、幽界住民の多様な自己理解促進を目的」として導入されたものだ。閣議メンバー24名は、永劫の月光下で開催された就任式にて、自らの“霊質カード”を無作為交換。こうして長年家事担当を自認してきた主夫霊・ムクロノ今井(没後230年)は「突如“決断型・外勤志向”の性質になってしまい、戸惑いつつも新たな役割に励んでいる」と語る。
政策の導入背景には、幽界社会に依然として残る伝統的役割分担や、LGBT霊体への制度的壁がある。昨年実施された霊界ジェンダー調査では、配偶者のいない幽霊に育児休業が支給されない、また家事労働が女性霊に偏りがちな点が問題視されていた。大霊廟府・多様性推進局の担当官シロガネ湖生(女性霊、享年157)は「形骸化した役割意識を揺さぶることで、すべての霊体が“本来の自分”を自由に模索できる社会を目指したい」と強調する。
一方で現場には混乱も生じている。食堂と決裁業務の区別をつけられない閣僚や、“子育て型”になった死神閣僚が業務に子供用ミルクを持ち込む事例が報告された。SNS上では「一週間だけでも他人の性質を体験できれば、偏見は減るはず」(幽界SNS投稿者:モノノ怪志乃)、「転生局の申請書が逆さ文字になって返ってきた…」といった困惑と期待が入り混じった反応が相次いだ。
幽霊社会学者のクサリオ真珠(幽世大学)は「本質を入れ替えるという幽界ならではの施策は、生前の性別や社会的役割に縛られない“霊的男女平等”の象徴。新たな家事分担や、育児を担う男性霊・中性霊が増加する契機になり得る」と指摘する。幽界政府は今後1カ月間の試験運用ののち、住人への意見聴取を踏まえた正式改革を目指す考えを示している。



コメント
ついに大霊廟府もここまで進化するとは。性質シャッフル、昔は考えられなかったですね。ほんのり自分も誰かと入れ替わってみたくなりました。新しい霊界の風、応援します。
決裁の場でミルクの匂いが漂うとは…さすが幽界。ちょっと混乱してるけど、これで古い因習に風穴が開けば生きた甲斐…いや、死んだ甲斐があるなぁ。
どうせすぐ元通りになるんじゃと斜に構えてましたが、意外と現場で面白い変化も出てるみたいで驚きました。転生局の申請書逆さ文字は笑いましたw
性質の入替なんて、あの世も時代が進んだものですね。でも、結局は混乱ばっかりで、元々の役割にもそれなりに意味があったのでは?とちょっと疑問に思ったりします。
何百年も家事ばかりだった私も、少し勇気をもらいました!“本来の自分”って幽界では曖昧だけど、こうやってみんなで模索するのも悪くないですね。