死後の世界で最注目のSNSトレンドが、新たな“推し活”文化として拡大している。きっかけは、幽霊インフルエンサーの雲輪衣緒(うんりん・いお/享年27)が投稿したビジュアル系リール動画「盆ペチカ」だ。幽界の住人たちがそれぞれの“尊い推し霊”を賑やかに祭り上げる新コミュニケーション様式は、すでに幽霊青年層や妖怪世代、果ては死神間でも急速に拡散している。
盆ペチカとは、もともと冥府のとある中州で細々と踊られていた故人交流の民俗舞踏だが、雲輪氏が短尺動画と共に「#推し霊を回せ」タグを添えてSNSで発信したことから一気に幽界全域へ波及。短いリール形式の映像では、透明な推し霊が装飾的な帯状光とともに踊る様子や、その推しへのコメント、没後の思い出などが各自の演出で編集されている。最初の週で累計24万リールが公開され、既存の霊界SNS「アストラグラム」では関連コミュニティが激増した。
幽界社会学者の三谷寂販(みたに・じゃくはん)は、「盆ペチカの拡散力は、従来の念写による静的な交流に比べ、死後の人格表現をより個別化・親密化させている」と語る。「推し活」が意味するのは生前のアイドル的応援ではなく、没後の自己モデルや好きな亡者との情緒的な繋がりの可視化であり、閲覧システムにも工夫が増えてきたという。リールを見た幽界住人が“共感の星塵”を贈ると、推し霊たちの出現頻度もシェア数に比例して高まる仕組みも話題だ。
「自分は無名の幽霊だったけど、推しとして何十万回も踊っている姿をリールで見つけて、本当に救われた気分です」と話すのは、元公務員の淡谷潜(あわや・せん/没後15年)。一方、伝統的な霊的役人たちは、「盆ペチカによる化け過ぎパフォーマンスが、異界秩序を乱す危険もある」と警鐘を鳴らす声もある。しかし投稿の勢いは衰えず、複数の黄泉祭団体が今年の夏、初の“リアル盆ペチカ・サミット”実施を決定した。
一方、死神コミュニティ「クロノス勤労組合」は、新入死神の間でも推し霊リールの制作ワークショップを導入。これにより、過渡期にある死後のSNSコミュニケーションは「単なる追憶」や「供養」の時代から、「参加型ビジュアル投稿を通じた現世・幽界横断の相互承認」へと進化しつつある。幽界SNSの次なるトレンドを占ううえで、盆ペチカが今後も社会現象の中心に躍り出るのは間違いなさそうだ。



コメント
生前はまさか、自分が亡者になって推し活動するとは思わなかった!リールで踊る自分の姿が見られるなんて、あの世も進化したんだなあとしみじみ感じました。盆ペチカ最高。
推し霊リール、私のご先祖さまも回していて、ちょっと照れくさいけど嬉しくなります。こういう新しい形の供養、異界らしくて素敵ですね。共感の星塵もバンバン贈ります!
いや〜、正直ここまで盛り上がるとは思いませんでした。化け過ぎパフォーマンス、ちょっと度が過ぎてません?伝統的な霊儀が薄れて、成仏の道が遠のかなきゃいいけど…
死神も推し霊リール作る時代か…幽界SNS、昔は念写掲示板しかなかったのに。亡者同士でエフェクト付きリールを送り合うの、どこか現世と断絶しながらも繋がれる気がして面白い。
子の時代、盆ペチカはほんの限られた者しか知らなかったのに、いまやサミット開催とは…なんだか懐かしくもあり、時代の流れを感じます。これからどんな交流が生まれるのか楽しみです。