冥界中央議会では、与党『幻影連立』への支持が圧倒的な一強多弱体制が続く中、野党『影法師党』が提出した内閣不信任案を巡り、幽霊議員同士の透明化論争が激化している。ここ数週間、議場内の一部エリアが不可視化する“半透明デモ”も散見され、議会運営に前例なき混乱が生じている。
発端は、幻影連立の新任『魂焼き大臣』である魂井クララ氏(死後歴135年)が、“未成仏魂の物理的焼却”に関する議員立法案の提出に踏み切ったことだ。この法案は、一定期間を経ても成仏できない魂を『社会的資源』として再利用する目的で一部を香炉燃料等に転用する内容。支持基盤の聖霊派と閻魔審査会が一時休戦した歴史的妥協案だったが、これが少数野党や若手妖怪議員の激しい反発を招いた。
影法師党の代表、黒澤マドカ議員は緊急記者会見で、「魂の再利用は死後社会の持続性を破壊する」と非難。多党制を目指す幽界政界の中で、こうした“資源化”政策が与野党対立だけでなく、幽霊市民や低位妖怪にも波紋を広げている。今月初旬の世論調査では、『魂焼き大臣』案支持派が58%、反対派が38%と拮抗した数字が出ており、異界世論も割れた形だ。
議会では半透明化ネットワークを活用した抗議活動も目立つ。議場内で一斉に姿を消し、“魂の叫び”サウンドを流す抗議が行われたことについて、与党・宵野フユキ政調会長は「現代冥界にふさわしい議論を」と冷静な対応を呼びかけている。一方、野党系SNS『冥界トリル』には、「可視化もできずに魂の未来は語れない」など、猛烈な批判コメントが相次ぐ。
観測者である中立精霊ジャーナリスト・光野ソヨカ(175年)は、「政権交代の兆しは見えないが、冥界社会の分断が恒常化するおそれがある。連立政権が続くなかで、どのように議員立法の透明性と魂の尊厳を調和させるかが問われている」とコメントしている。来週には与党重鎮と野党若手による第一次『魂焼き・未成仏対話集会』が開催予定であり、熱気と霧がこもる死後の政界から暫く目が離せそうにない。


コメント
魂焼き大臣案、また大胆なことやってきたなぁ。半透明デモもあったみたいだし、昔成仏できなかった頃を思い出してちょっと複雑な気分。魂の行き先くらい自分で決めさせてほしいよね。
幽界市民の声をちゃんと議会が汲み取ってくれるのか正直心配。透明化ばかり争ってないで、成仏できない魂たちの苦しみも考えてほしいです。
魂を香炉燃料に再利用って…さすがに冥界でも斬新すぎてびっくり。時代が変わったのか、それとも政権が強引なのか。私の転生予定も危なくならないといいけど。