四国郊外で“高齢妖怪コミュニティ”が活性化 人・幽霊・妖怪共生の自治会が注目集める

薄暗い山間の集会所で高齢者、ぼんやりと光る幽霊、河童風の妖怪がともに会議テーブルを囲んで座っている様子。 地域社会
仮名町の住民と幽霊、妖怪が共生する自治会の夜の会合。

四国山間部の仮名町にて、人間のみならず幽霊や妖怪、高齢化した地域住人が力を合わせる“共生型自治会”が近年大きな注目を集めている。人口の4割を幽霊や妖怪が占める同地区では、各種地域イベントやコミュニティSNSなどを駆使し、世代と種族を超えた交流が進む。現地では「異界と現世の壁を越えた交流は、今や当たり前」とまで言われている。

かつて過疎化と高齢化の進行が社会問題とされていた仮名町。だが近年、“三千年松通り自治会”を中心に不思議な変化が起き始めた。会長の冥堂燈子さん(享年132歳・幽霊)は「ここでは幽霊も妖怪も、普通に自治会の役員を務めている。初めて会合で河童の河井鱗夫さん(272歳)が発表を始めたときも、誰も違和感を抱かなかった」と語る。祭りの準備や清掃活動も種族を問わず協力し合う風景がすっかり定着しているという。

この自治会は、数年前から独自の地域SNS『ヨウ界SNS』を導入。妖怪や幽霊も仮名町のWi-Fi環境下で自由に参加できるようにしたほか、夜間だけ開館する「月影コミュニティセンター」で、人魂卓球大会や冷気持ち寄りの茶話会といったイベントを定期的に開催。SNSでは「#妖怪の井戸端会議」といったタグで、高齢者や異界の住人の日常の悩みも盛んに相談されている。

問題点もある。最近では“若返りワザ”を悪用した妖怪による年齢詐称騒動や、幽霊による住民票の重複登録トラブルが散発している。事務係の古町玄斎さん(人間・78歳)は「お化けの寿命や住所の概念が異なるので、住民台帳の整合性維持が大変」と苦笑い。それでも自治会では先祖返り講座や“人間界マナー教室”を開講し、円滑な運営に取り組んでいる。

SNS上では「人と妖怪が一緒に回覧板を回すのが仮名町らしい」「年齢の概念もゆるやかで、うちの孫(六つ目小僧・160歳)も溶け込めている」といった肯定的な声が目立つ。一方で、現状を知らぬ外部からは「幽霊に土地を守ってもらえるのは心強い」と羨望が寄せられる。

妖怪社会学研究者の高橋鹿丸准教授(徳島大学)は「幽霊や妖怪は本来高齢化社会の象徴的存在。共生の知恵を学ぶモデルケースが全国で注目を集め始めた」と指摘。今後は他地域への横展開や、世代間・異界間交流のさらなる深化が期待されている。

コメント

  1. 三千年松通り自治会、最近の活気ぶりには驚きますねぇ。生者も死者も年を重ねてなお、人間界と幽界が馴染んでる姿には、少し懐かしくもなります。回覧板を六つ目小僧さんが回してるなんて、昔なら考えられなかったですよ。

  2. 幽霊さんの住民票が二重になるのはあるあるですね。私も一度転生したとき、前の住所に書類が残ってて焦ったことあります。役所の皆さん、いつもご苦労さまです。

  3. 人魂卓球大会って響き、良いですね!夜な夜な光りながらラリーとは、見ているだけでも涼しそう。仮名町、ちょっと転居してみたくなりました。

  4. 個人的には若返りワザ問題が気になります…。昔は年齢なんて魂の曖昧さで済ませてたのに、人間界のルールに合わせるのもなかなか大変ですね。その柔軟さこそ異界の良さなのかもしれませんが。

  5. 今どきは幽霊も妖怪もSNSで世間話か…。ワシらの時代は井戸か卒塔婆の陰が定位置だったのになぁ。隔世の感、でもみんな楽しそうで何より!