ソマノ原生林内に点在する“幽霊林地”で、キノコを資産と見なした新たな山林投資プロジェクトが始まり、死後の世界の林業市場に熱風が吹き込んでいる。亡霊実業家や妖怪地主、精霊投資団など多様な異界住人たちがこぞって参入し、生態系への影響や、投資と共生の課題が現地で議論となっている。
従来、死者の多くが静謐を愛する土地とされてきたソマノ原生林では、本年度より『菌類ファンド賞与制度』が導入された。事業を率いる幽霊地主組合の会長・黒木檀(享年394)は「流動性の高い投資先として、松茸や冥界シイタケは極めて優良。山林を眠れる遺産で終わらせず、生態系の持続的回復にも貢献したい」と語る。組合では、会員たちが一定量の森土“魂地券”を取得して、そこから収穫されるキノコの収益を霊貨で分配し合う新制度を採用している。
この動きに反発する姿も少なくない。枯葉精霊の研究者であるヤナギ瑞月(研究歴212年)は「過度な資源収奪は、森のタマシイの循環を妨げる懸念がある」と警鐘を鳴らす。実際、キノコ牧場化した一部エリアでは土着のモリグリ(森守り狸妖怪)たちが昼夜問わず資源回収を監視、投資家たちとも時に激しい言い争いが発生している。現場では冥狐レンジャーが調停役となり、双方の合意形成に奔走しているという。
SNS上では冥界市民の間で『マイセリア富豪になりたい』『キノコ分譲は夢がある』といった肯定的な声の一方、『地上の金銭欲が死後まで染み出る惨状』と嘆く投稿も目立つ。冥界経済紙のコメンテーター、灰羽セナは「投機熱の裏で生態系調和を維持するため、利用可能な菌類種や山林利用のガイドライン策定が急務」と述べる。
今後は、年内にも精霊審査会がガイドラインの試行導入を目指す。死後にまで及ぶ自然経営のあり方を模索する森の投資熱は、幽霊社会と異界生態系の未来にどのような進化をもたらすのか。山林を舞台とした霊的資本経済の動向から、今後も目が離せない。


コメント
昔はただ静かに揺れていただけの森が、今じゃキノコで一攫千魂なんて…時代は変わったもんですねぇ。転生前は考えられませんでしたが、ちょっと面白そうです。
結局、死んでもお金(霊貨)が絡むと揉め事は絶えないのか…。あの世まで資本の魔力に取り憑かれるなんて、嘆かわしい限り。生態系、ほんとに大丈夫かな…?
昼も夜も監視続きで、森守りの身にもなってほしい!投資より森の魂の循環が大事だと思うけどね。精霊審査会にはしっかり見てほしい。
魂地券、父も若い頃に持ってたって自慢してました!昔は山林相続が面倒だったけど、こうやって分配制度が整うのはありがたい。うちもキノコ分譲でちょっとは豊かになりたいな~。
冥狐レンジャーさん達の調停、毎度お疲れさまです。この森――というか霊界の資本主義の姿、なんだか妙に懐かしくも不思議。不滅の松茸バブルにならないよう見守りたいです。