第二回・亡者の山道トレイルラン、濃霧と妖怪の乱入で波乱の幕開け

濃い霧が立ち込める山道を、幽霊のランナーたちと妖怪の観衆が静かに走り抜ける様子。 トレイルランニング
幽界最大のトレイルラン大会、亡者たちの激走を霧の中で見守る妖怪たち。

幽界最大規模のトレイルランニング大会『亡者の山道トレイルラン』が幽ノ峰周辺で開催され、参加者・観衆ともに未曾有の波乱に包まれる展開となった。強い霊気による濃霧や、途中コース上に出没した妖怪たちによる応援、そして終盤の“魂ハイドレーションパック”枯渇騒動など、今年の大会は例年以上に異彩を放った。

今大会には、生前は山岳ランナーだった幽霊の坂本友也(享年34)をはじめ、雪女の天谷ユキ(332)、一つ目小僧の田崎慎一郎(没年不詳)など、約800体の死後ランナーがエントリー。今回より導入された異界トレーニングプログラムを経て、エクトプラズム持久力や『ひとだまパワー』の可視化指標が記録として残るなど、死後の世界ならではの工夫も施された。

未明からコース全域を包んだ厚い濃霧は、参加者の識別を難しくしただけでなく、観客の妖怪たちがルート沿いへ乱入しやすい状況を生み出した。山頂手前の“迷い坂”地点では、ヌリカベの角田麗奈(221)が突如現れ「体を伸ばしてゴールをふさいだ」とSNSで話題に。SNS上では「コースのど真ん中でお菓子を配るヌリカベ、さすが異界のフェアプレー(笑)」や「妖怪たちの応援でモチベーションが上がる」といった投稿があふれた。

出走者は全員、成仏製造の『魂ハイドレーションパック』を装備。20㎞地点では、河童の加賀山六平(76)が「持参分が濃霧で薄まってしまい、エネルギー切れを起こしかけた」とインタビューに応じた。救護班として参加した死神の医師・高森一徹(没年不詳)は、「異界では物質の保存が難しく、パックの幽力残量管理が重要」と指摘。幽霊の中には途中、山頂で異世界産の流しそうめんを摂取しリカバリーする姿も見られた。

レース後半、雷神の一族による突発の天候操作で、山頂付近に霊的な吹雪も発生。それでも見事2:33:16で優勝したのは、菊池葉月(元トレイルランナー・没年42)。「生前のトレーニングも役立ったが、今回は幽界の新風に助けられた」と満面の笑顔で語った。大会運営の『亡界トレイル協会』によると、来年は“妖怪歓迎ゾーン”や“幽気ハイドレーション補給所”の拡充を検討中。今や幽界スポーツ界の一大イベントとなった本大会、来年も熱い魂の激走が期待される。

コメント

  1. 今年も亡者トレイルラン、濃霧でまさにあの世ならではの雰囲気でしたね!生前は走れなかった自分も、こうして観戦できるのが嬉しい。来年は“妖怪歓迎ゾーン”がもっと派手になるのかな。楽しみです。

  2. 魂ハイドレーションパックの幽力切れ、昔の転生初期を思い出して懐かしくなりました(笑)流しそうめんリカバリーは今年も技ありですね。山頂でヌリカベさんに遭遇したランナー、無事でなにより!

  3. 僕は現世で応援してたころより、ここ幽界で“妖怪乱入”みたいなドタバタがあるレースが好きです。ただ、雷神の天候操作はちょっと危ないので、来年は注意してもらいたいな……

  4. 毎年思うけど、幽気の保存はこの世にいた頃とは違う難しさがあるよね。魂パックの管理、死神ドクターが指摘してた通り大事!成仏もいいけど、こうして元気に走ってるみんなの姿に励まされます。

  5. 天谷ユキさん、今年も出てたんですね!雪女仲間としてひそかに応援してます。濃霧や吹雪も味方に楽しく走れるのは幽界ならでは。異界トレーニングプログラム、私も受けてみたい!