幽界南方海沿いの街々で、かつてない規模の“お化け雲”が出現し住民たちを驚かせている。この不気味な新種の雲は、従来の南岸低気圧を起点として現れ、幽霊や妖怪たちの生活を一時的に混乱させた。突然発生したゲリラ豪雨によって、幽霊大通りや河童町で一時的な濡れ騒動が起き、SNSには驚愕の声が溢れた。
異変が最初に観測されたのは、死後庁気象観測局・南方支部による6時14分の衛星霊視点だ。従来型の低気圧に比べ、発生と消滅のサイクルが極端に速く、雲自体が半透明状態で形状が掴みづらいという特徴が報告された。観測局長の針山霧彦(霊齢324)は「通常は南岸から進入するはずの雲の一部が、自我を持ったかのように進路をねじ曲げ、住宅地上空で急用を済ませるように消滅しました。とても通常の物理現象とは思えません」と困惑を隠さない。
南方の風呂屋町に暮らす幽霊配達員・水上灯介(幽齢82)は、ゲリラ豪雨直撃時の様子を語る。「一瞬のうちに全身がびしょぬれですよ。僕たち幽霊は本来、水分をある程度すり抜けるはずなのに、このお化け雲の雨にはまるで重みがあって。文字通り“体まで沁みる”感じ。雨宿りしていた河童たちも、静電気に怯えて霧散してました」
ネット上では、この異常気象について様々な憶測が飛び交っている。特に話題となっているのは、『お化け雲』が死後の世界と現世の境界を彷徨し、未練を残した魂の集合体で構成されているのではないかという説だ。カフェ玉響の座敷童子店主・安曇野キリコ(推定120)が投稿したポストには「うちの軒先にも昨日夕方、お経のような雷鳴が轟いていました。お客さまは皆、雨音に囲まれながら静かに団子を食べていました」と不思議な雨体験を報告している。
一方、専門家の間では南岸低気圧の増加が死後世界の異常気象と関係している可能性も指摘されている。死後庁気象観測局・雲現象課の百目鬼雲姫(霊齢210)は「気温上昇や新たな未浄化霊の流入が複雑な気流を生み出し、異常な雲生成につながった可能性があります。今後も注意深く観測を続けます」とコメント。そのうえで、「幽界気象アプリ“あの世の空模様”をこまめにチェックし、怪しい雲が現れた場合は早めに屋内へ避難してください」と霊的安全対策を呼びかけている。
街中ではゲリラ豪雨がもたらす幽体調不良も報告されており、霊魂クリニックには『重だるさ』『意識の霞み』『足元から霞む』など、例年にない症状で訪れる通院者が続出。今後も南岸低気圧発の“お化け雲”は注視が必要だと、住民も専門家も警戒を強めている。



コメント
河童町の親戚からも「身体が溶けそうなくらいずぶぬれになった」って便りが届きました。生きてた頃は普通の雨にしか悩まされなかったのに、死後の雨はひと味もふた味も違うんですね…。雨宿りも大変ですが、たまにみんなで団子食べて過ごすのも悪くないかも。
お化け雲が自我を持つって、聞いただけで背筋凍りますよ……。まさかこんな現象に転生後も怯えなきゃいけないとは思いませんでした。次は未練のない雨でお願いしたいものです。
お化け雲って昔はそんなに頻繁に出なかった気がします。もしかして現世の異常気象とつながってるのかな?霊魂クリニックの行列も最近見たことないくらい長かった…。早く成仏したい方には厄介な季節ですね。
確かに昨日の夕方、私の部屋の天井のシミが妙にざわめいてたので、嫌な予感がしてたんです。お経みたいな雷鳴なんて風流ですけど、この重い雨は幽体にも応えます。あの世の空模様アプリ、通知音もっと派手にしてほしい!
重だるさも意識の霞みも…まさか天気のせいだったとは。転生組の友達が、霧散しかけてて焦りました。異界でも天気は侮れませんね。早く異常が収まりますように、そっと念を送ります。