あの世最大のスポーツフェス「全幽界ミックスアウトドア競技大会」が、今季ついに重力ゼロ空間で開幕した。魂年齢8歳の小鬼から800年選手の老妖怪まで、多世代・多種族混成による新競技が続々と繰り広げられ、現世さながらの熱狂に包まれている。
大会は瘴気高原に設けられた『ハザマ・フィールド』の全長500m、宙吊り式グラウンドで開催。もっとも注目を集めたのは、今年で初採用となる『グラビティ・モルックボール』だ。これは地表から一切の重力を排除し、幽霊・妖怪・精霊が自由に浮遊しながら、無数のスパイク型ボールと木製ピンを使って得点を競う競技。人間時代の記憶を持つキツネ霊・影野ルイ(享年29)は「しっぽで弾いたスパイクは現世の野球とは全く違う感覚」と興奮を隠さない。
ハイライトのひとつが、“異世代混成”のチームワーク。800歳の百目妖怪・広田メグルは「俊敏な小鬼や透明な河童の動きは、自分一人では絶対思いつかない戦術が生まれる。少し前まで己の姿も見えなかった幽霊青年が、今や私よりうまく味方をサポートしているのだから、スポーツの力は侮れない」と目を輝かせた。一方、観戦に訪れた死神官僚(44)は「生前の肩こりを気にせず競技できるのは、あの世スポーツならではの利点」と新たな趣味開拓に意欲を見せる。
スコア管理も現世にはない工夫が施されている。識霊AI『アスリート霊樹』が審判を務め、選手それぞれの半透明化や分身体分も正確にカウント。SNS「死後のつぶやき」上では、「広田メグルの百眼パスがエグい」「影野ルイの空中ボレーはもはや神話級」など、観戦実況と称賛の声が多数上がった。人気実況者の魂道本ツカサ(享年不詳)は「生と死を繋ぐ“遊び”が、こんなにも多世代を一体化させるとは」とその奥深さを語っている。
大会運営委員の妖精・林塔ピスケ(233)は、「幽界社会をもっと明るくするアウトドアレクリエーションの力を信じている。種族の壁も魂の年齢も超えられるのが、ミックススポーツの本当の魅力」と語る。草の根で活動を続けてきた各地のサークルも今回多くが参加し、今後はチーム間交流や季節ごとのリーグ戦も計画中だという。
死後の世界に生きる、いや“在る”者たちが、老若男女問わず白熱した一体感を味わう本大会。次回の開催地や新競技の展開にも、幽界の期待が高まっている。


コメント
まさか重力ゼロでスポーツ大会とは……!現世時代には想像もできなかった発想に、転生してほんと驚かされます。小鬼と百目妖怪が一緒に戦う姿、ちょっと見に行ってみようかな。
こういうイベントが増えると、幽界の毎日もちょっと明るくなる気がするね!現世では運動苦手だったけど、重力ゼロなら私も挑戦できるかも。ピスケさん、応援してます!
いやいや、分身体も正確にカウントする識霊AIとか便利すぎでしょ。昔はスコアに文句ばかり言ってケンカになったのに……時代は変わるもんだぜ。
グラビティ・モルックボールって響きからして神秘的!河童仲間も透明加減で有利そうだけど、老妖怪さんの百眼パス、拝みたい〜。次はうちの沼地でも開催してほしいな。
800年も“競技”に青春熱中できるなんて、あの世の無限感よ……。羨ましいやら、ちょっと切なくなるやら。現世みたいな悩みも忘れて、みんなで遊ぶのって、やっぱりいいですね。