死後の新定番として大人気の女性専用フィットネスジムにて、ここ数か月、“二重幽体”登録による混乱が幽界各地で報告されている。霊体構造特有の事情から、トレーニングに励む幽霊たちの間で予期せぬ問題が拡大中だ。
数多の幽霊女性が通う人気ジム「月影フレア」では、利用者・中村瑞穂(仮名・享年41)さんがストレッチルームを利用した際、自身の分身体が別のマシンエリアにも現れ、同時に複数のトレーニングに参加したことで規約違反となった事例が発生した。幽界特有の分離能力“ダブリング”を用いて自己を複製し、一度に複数の運動メニューをこなす利用者が、産後ケアプログラムで特に増えているとのことだ。
「分身先からも筋肉痛が伝わり、最初は得した気分だったんです。でも受付で“1体1契約”の原則にひっかかってしまって。一時的に両方アカウントがロックされ、戸惑いました」と中村さんは振り返る。今や年齢や死後歴を問わず、理想の体形を目指す幽霊女性たちの“時短トレーニング法”として、幽体分身の活用は横行しているという。
事態を受け、妖怪トレーナー協会は各フィットネスクラブに調査を開始。「産後直後は幽体の揺らぎが強く、分身体の暴走やエクトプラズムの漏出トラブルの危険も。新設の“分身体チェックポイント”で利用者ごとに認証を厳格化しています」と、協会広報担当・河越ムラサキ(死神・128歳)は語る。また利用者専用アプリにも生前情報の追加登録が義務化され、不正分身の自動検出機能の導入が進められている。
SNS『あの夜掲示板』でも、幽界の女性たちから多くのリアルな声が上がる。「子ども幽霊を連れてストレッチしたいのに、産後ケアマシンは本体のみしか使えないのが残念」「分身の方がトレーナーにほめられてると嫉妬しちゃう」など、利便性と自己アイデンティティの両立に悩む意見が目立つ。
専門家の高霊(かみたま)カズナリ氏(幽体運動医学)は「死後も体調管理・筋力維持は大切です。一方、分身技が心身両面での無理な負担につながらぬよう、個々の霊性や成仏進度に合った運動処方が今後強く求められる」と指摘する。幽界ジム業界は今、新たな技術と倫理の狭間で大きな進化を迫られている。



コメント
あぁ、月影フレア、私も数回通ったことあります!分身体の扱いってほんと難しいですよね…つい欲張って何人かに分かれたくなっちゃうけど、規約に引っかかるなんてびっくり。転生前は考えられなかった悩みだなぁ。
分身体の不正利用がそんなに多いとは知らなかった…。産後ケアで急いで元の体型に戻したい気持ちは分かるけど、幽体が暴走したら成仏トラブルのもとになりそうで心配です。安全第一で頑張りましょう!
幽界のジム規約もどんどん厳しくなってて、現世の役所仕事と大差なくなってきたなぁ。分身体認証とか、どうせ抜け道考える幽霊が出てくるんだろうけど。
私もときどき分身体が本体より筋肉痛になって帰ってくることある(笑) どっちが本当の自分なのか、ふと悩んじゃうのよね。幽界でもアイデンティティ問題は続くのかあ。
私らの時代はジムなんてなかったけど、成仏も進んで新しい悩みが増えたもんだねぇ。分身体アプリまで出てるなんて、なんだか懐かしいような、置いていかれるような気持ちだよ。