“幻魚”カワヒレモドキ、亡都水路で爆発的繁殖 QR掲示で妖怪パトロールが新戦略

薄暗い水路沿いに設置されたQRコード札と水面下にぼんやりと見える半透明の魚の群れの実写写真。 外来種対策
幽水路に設置されたQRコード札と、様子をうかがうカワヒレモドキが印象的な場面です。

亡都中央の幽水路にて、ある新顔の外来生物がひそかな物議を醸している。半透明のヒレを漂わせる“カワヒレモドキ”――死人にも見分けのつかない姿で、近年市域の生態系を席巻してきたが、幽界環境整備局はこのほど、QRコードを活用した新たな監視策に乗り出した。亡都妖怪パトロールが市民の協力を呼びかけている。

カワヒレモドキは、生前領域で流れ着く養魚場の残魂が集合・変異したものとされている。幽水路管理課の冥田霧男(管理官・永年齢112)は「見た目は地味な魚影だが、突然水面に浮き上がり“亡者小魚”に擬態して在来のヨウカイカモや精霊マメナマズを欺く。結果、従来の捕食網や水上呪符だけでは効果が薄い」と現状の課題を説明する。

こうした背景から、今月から水路沿い20カ所に円形のQRコード札が新設された。幽界SNS『ヒカリウム』にリンクし、通り掛かった精霊や幽霊が野良のカワヒレモドキ発見情報を簡単に匿名投稿できる仕組みだ。初週だけで投稿数は700件を超え、「うちの小僧ヒトカゲクン(34)が朝晩で20匹も目撃した」「突然消えるように泳いでいた」という具体的な報告が相次ぐ。妖怪パトロール隊長の赤杖イワネ(年齢非公開)は「市民の協働なくして在来種は守れない。スマホが苦手な幽霊も、パトロール日誌への手書き添付OK」と呼び掛けている。

外来種対策に詳しい半霊生物学者の霜月百華(128)は「この定点QRシステムは、在来種コミュニティの生存圏を細かくマッピングできる点で画期的。多様な種が混棲する幽界の水路では、“見えない侵略”にこそ迅速な情報共有が肝心」と評価する。一方、カワヒレモドキは夜半に群泳する習性が強く、記録情報の正確性や、浮遊する幽水苔の影響による誤報も課題だ。

SNS上では「パトロール中にQRコード自体が魚に食われた!」(自営業・井雫ゴンゾウ)、「亡都の平和は小さな投稿から」といった声が散見され、今後は“幽子ども見守り隊”との連携強化も検討されている。妖怪パトロールは市民からの遊戯的な参加も歓迎する姿勢。今後、中央水路以外の地域へのQR掲示拡大と、分析AI・亡者区長“亡道ルリ子”による報告集計が予定され、幽界の生態系守護戦線は新段階を迎えつつある。

コメント

  1. ああ、カワヒレモドキかぁ……わたしの転幽直後の水路散歩でヒレがきらりと見えて、懐かしい気持ちになったのを思い出します。まさか爆発的に増えてたなんて、びっくりです!QRって、時代も進みましたねぇ。

  2. 昔は水上呪符で十分だったのに、今の外来種は手強いなァ。幽霊もIT化とは……現世と変わらんのじゃなとつい思ってしまう。パトロール隊の皆さん、お疲れさまです。

  3. うちの子も水路の縁で「ヒラリがいっぱいいる!」って大騒ぎしてました。夜涼みしながら家族でQR投稿、なんだか祭みたいで楽しいです。在来のカモさんたちも無事でいてほしいな。

  4. カワヒレモドキ、実は幼いころに見て怖くて泣いた思い出が……。幽水苔で幻覚みたいに増えたらと想像すると、やっぱりドキドキしちゃう。みんなで見守れる世界でありがたいです。

  5. パトロールご苦労さまだけど、QRも食われるってちょっと笑いました。コドモ見守り隊と連携してゲーム仕立てにしたら、もっと幽界っぽくていいかも?成仏に役立つイベントもほしいな~。