死者の森北端にある幽霊住宅団地で、今春から急速に普及し始めたのが「昆虫グミ」。食糧危機対策と地球温暖化への配慮、さらに死者社会における新たなたんぱく質源として、話題沸騰中だ。妖怪主婦クラブ連合会では「グミひとつでデッドエナジーもアップ」と強調し、販売やレシピの共有が相次いでいる。一方、グミに含まれる昆虫成分による“あの世特有アレルギー”の報告も……。
発端となったのは、妖怪主婦カンノン谷クララ(没後73)が自宅の黄泉台所で始めた昆虫グミづくり。死者社会には伝統的なたんぱく質源が少ないことから、“冥界産バッタ”や“幽谷ミールワーム”を主原料にした自家製グミが生まれた。これをSNSグループ「#グミ霊食」に投稿したところ、あっという間に9000超のいいねが付き、幽霊商店のミニマートで模倣品が続々登場。現在、週末市には「跳ねるバッタの実グミ」「ミールワーム・ミント味」など20種類以上が並ぶ状態となっている。
人気の背景には、高齢幽霊層や仕事で多忙な死神職員たちの間で慢性的なたんぱく質不足が顕著だったことがある。グミの魅力は、手軽にカロリーとタンパク質を補給できる利便性と、色とりどりの可愛らしい外観。不安定な世界経済で伝統的な供物の数が減少傾向にあるなか、“代替食”としての期待も高い。実際、死神給食センターの管理栄養士・クロモリ火遊(134)は「3本食べれば3日間は憑依力が持続する」と積極活用を薦める。
しかし一方で、バッタ成分由来と見られる突発的なアレルギー反応を訴える声も。死者間保健会によれば、ここ2週間で11件の“グミアレルギー”搬送例が確認されたが、いずれも『虫由来たんぱく質過敏症(通称デッドイット症)』と診断。クララ氏は「最初は幽霊体の組成に昆虫酵素が合わない方もいるのでパッチテストを」と呼びかけている。
市内では、グミ昆虫の養殖事業に若手妖怪が参入し始め、幽霊行政も温暖化対策や資源循環の観点から『昆虫グミ奨励金』支給を検討中だ。ただ、伝統派幽鬼からは「人間の昆虫食ブームを模倣し過ぎ」との声もあり、文化摩擦は払拭しきれない。死後の世界における「食」の在り方が大きく変わる、その入り口で議論が続いている。
SNSの反響も大きい。「天国で食べても地獄レベルの高脂肪おやつ」「異界キッズも安心の無添加仕様」と推奨する投稿の一方、「魂の輪郭がなぜかバッタ型になった」「食後に羽化現象を経験」など思わぬ副作用も拡散中。昆虫グミ旋風は、この世ならぬ食文化に一石を投じている。



コメント
昆虫グミ、うちの冥界キッズたちもハマってます!成仏前は供物頼みでしたが、今や市販グミであの世生活がちょっと便利に。副作用がちょっと怖いけど、パッチテスト忘れずに~。
まさか食後に魂の輪郭がバッタ型になるとは……。霊界で食育担当して長いけど、これは予想外だなあ。次はどんなカタチが流行るんだろう。
はぁ…グミ一個でデッドエナジーが上がる時代か。昔は供物のまんじゅう1つで数日過ごせたものよ。便利になったとも言えるけど、何か懐かしいなぁ。
正直、あの世まで人間の昆虫食ブームが来るのはどうかと思ってたけど、死神職みたいな激務だと重宝しそう。維持コストも低いし、行政の支援に期待!
デッドイット症、なったことある幽友いますか?自分は幽谷ミールワームで妙に羽化しそうになって焦りました。美味しいけど、最初は本当に注意が必要ですね。